どうも、なす(@nasuyowa)です。
FPSと聞くと、ヘヴィメタルが流れるなか血みどろの戦場を駆け巡るイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
僕もずっとそう思っていたのですが、『Don’t Stop, Girlypop!』はそんな固定観念を心地よく覆してくれるゲームでした。
本作は2026年1月29日にSteam(PC)で発売されたインディーFPSです。僕は発売直後にSteamのWindows版で遊び、エンディングまでクリアしました。
見た目はピンクとネオンカラー全開のポップな雰囲気ですが、中身は「止まると弱く、動き続けるほど強くなる」本格派のハイスピードシューターで、このギャップがたまりません。

『Don’t Stop, Girlypop!』とは
開発を手がけたのはオーストラリア・パースのインディースタジオFunny Fintan Softworksで、販売はKwaleeが担当しています。
メイン開発者のJane Fiona氏が15歳(高校1年生にあたる10年生)のとき、学校の課題として作り始め、約6年の歳月をかけて完成させた作品です。
ブリトニー・スピアーズを聴きながら『Quake III』や2016年版『DOOM』を遊んでいた彼女が、「バイオレンスやメタルではなく、ガーリーポップが流れるFPSがあってもいいんじゃないか」と思い立ったのが開発のきっかけだそうです。この発想の切り替えが面白いですよね。
当初のタイトルは『Incolatus』だったそうで、IGNブラジルのインタビューによると「その名前だった頃は企画の売り込みすら聞いてもらえなかった」と語られています。
作品のコンセプトを3語でストレートに表す現在のタイトルへ改名したことで、状況が一変して大きな注目を集めることになりました。
基本情報は以下の通りです。
- 発売日:2026年1月29日(日本時間の配信開始は1月30日午前1時)
- 対応機種:Windows PC(Steam)
- 価格:2,300円(2026年9月19日時点)
- プレイ人数:1人(シングルプレイ専用)
- 対応言語:日本語字幕あり(キャラクターの音声は英語のみ)
- フルコントローラー対応・Steam Deck認証済み
macOSやLinux、家庭用ゲーム機での配信はなく、現状遊べるのはSteamのWindows版のみとなっています。
ジャンルについて、公式サイトでは「Y2Kのアリーナムーブメントシューター(a Y2K arena movement shooter)」、日本のSteamストアでは「2000年代のアリーナ形式のシューティングゲーム」と説明されています。
また、ファミ通のレビューでは「ブーマーシューター」の一種としても紹介されていました。実際に遊んでみると、どの表現もしっくりくる個性的な手触りです。

ポチップ
移動速度がダメージに直結!ウェーブホッピングをマスターせよ
本作は見た目こそピンクとネオンカラーのポップな世界観ですが、中身はかなり手応えのあるハイスピードシューターに仕上がっています。この鮮やかなギャップこそが、本作最大の魅力です。
ゲームの基本構造はクラシカルなアリーナ型FPSです。敵が出現するエリアで敵を一掃し、次のアリーナへ移動するという流れを繰り返します。
ユニークなのが、移動速度が上がるほど敵に与えるダメージが増加するシステムです。画面には常に現在の速度倍率が表示され、ジャンプやダッシュ、敵の撃破によって数値がどんどん上がっていきます。
つまり、足を止めて撃っているだけでは通用しません。
その加速の要になるのが「ウェーブホッピング」と呼ばれる独自の移動テクニックです。スラム(急降下)からジャンプ、ダッシュへと流れるようにつなぐと、前方へ強烈なブーストがかかります。アリーナシューターのバニーホップに近い操作感覚です。
操作はかなり忙しいですが、コツをつかむと抜群の爽快感が味わえます。
リズミカルに跳ねながら進む感覚で、ステージ攻略中はこの高速状態をいかに維持するかが立ち回りの基本になります。敵の耐久力もプレイヤーがスピードに乗っている前提で調整されているようです。ファミ通のレビューでは、慣れないうちはオブジェクトに不用意に接触して止まったり、敵の群衆に突っ込んで集中攻撃を受けたりすることもザラにあると記されていました。
最初のうちは、入力の忙しさにかなり手こずりました。
それでも「速く動くほど強くなる」というルールが明確なので、操作がうまく決まらなくても「次こそはもっとスピードに乗って突破しよう」と自然にリトライしたくなります。失敗がそのまま次の挑戦へのモチベーションにつながる、作りの良さを感じました。

ちなみに、高速移動中に行き先を見失わないよう、目的地に向かって風が吹くガイドエフェクトが用意されています。スピードを出したままでも進行方向を直感的に把握できる親切な設計です。

敵を撃破すると「Love」というアイテムがドロップします。これはスコアとゲーム内通貨を兼ねたものですが、自動では回収されないため自力で拾いに行かなければなりません。
攻略ガイドによるとLoveの獲得倍率は時間経過で徐々に下がっていくため、敵を倒したら素早く回収へ向かう判断も求められます。ステージごとの評価(S+ランクなど)は、クリアタイム、集めたLoveの量、最高速度帯の維持率、シークレットの発見状況で判定されるとのことです。
体力の回復方法も独特です。敵に一定のダメージを与えて気絶(瀕死)状態にしてから接近し、画面に表示されるキーを押すと近接フィニッシャーが発動して体力が回復します。近年の『DOOM』におけるグローリーキルに近い仕組みです。

ここで面白いのが、超高速で移動していると威力が上がりすぎて、敵を気絶させる間もなく一撃で粉砕してしまう点です。
体力を回復したいのにフィニッシャーを狙えないため、ピンチの場面ではあえて速度を落として攻撃する駆け引きが生まれます。この力加減のバランス調整がとてもうまく機能していました。
ステージ内にはジャンプ台やグラップル(鉤索)ポイントも配置されており、これらを使うことでも速度倍率を稼げます。
移動そのものが攻撃力に直結しているため、アリーナに入った瞬間から「どのルートを通って加速するか」を考えることになります。ただ闇雲に走り回るのではなく、自分なりの加速ルートを組み立てていく面白さがありました。
武器の連携とデコレーションが楽しい
各武器には通常射撃(プライマリ)と特殊射撃(オルトファイア)の2種類が用意されており、それぞれの効果を組み合わせた連携が楽しめます。
特にお気に入りだったのがショットガンです。通常射撃はオーソドックスな散弾ですが、距離が離れていても一撃で敵を仕留められる火力を秘めています。
さらに特殊射撃で撃ち出したディスコボール状のエネルギー弾に通常射撃を撃ち込むと、周囲へ破片を撒き散らす大爆発が発生します。高速移動しながら敵の密集地点へこのコンボを叩き込んだときの爽快感は格別でした。

ほかにも、敵に泡をまとわせて別の攻撃で起爆するバブルガンや、周囲の重いオブジェクトを引き寄せて撃ち出せるワンド、ネイルガン、終盤で手に入るレールガンなど、個性的な武器が揃っています。
バブルガンは硬い敵に泡を溜めてから撃ち抜く立ち回りが効率的で、コミュニティの攻略ガイドでも推奨されていました。
スナイパーライフルは特殊射撃でスコープを覗けるものの、本作の猛スピードでは立ち止まって狙いを定める余裕がありません。「覗かずに撃つほうが扱いやすい」というあたりに、本作ならではの思い切りの良さを感じます。
ワンドは周囲のオブジェクトを掴んで投げつける重力銃のような武器で、使いこなすと戦闘がよりダイナミックになります。
そして本作の大きな特徴が「武器のデコレーション」です。プレイヤーの腕や武器を、ファブリック(シルクやデニム、鱗模様など)やオーナメント(イチゴやティーカップ、サメのぬいぐるみなど)で自由に装飾できます。

素材はステージ上にいる4人のフェアリー販売員から、敵がドロップしたLoveを使って購入します。「敵を倒してLoveを集め、武器をデコる」というサイクルが、ゲームのプレイ体験を支えています。

どれだけデコレーションしても武器の性能自体は一切変わらず、完全に見た目だけの要素です。
それでも、ギャルがスマートフォンをデコるような感覚で銃を着飾っていく発想が新鮮で楽しめました。キャラクターの両腕まで装飾でき、飾ったパーツが泡に包まれて浮かぶ演出など、細部まで丁寧に作られています。
攻略ガイドには1つの武器へ100個以上のオーナメントを装着する実績まで紹介されていて、集めるだけでもやり応えがあります。お気に入りのパーツで武器や腕が自分好みになっていくのは、激しい戦闘の合間の心地よいご褒美になっていました。

バレットタイムとレールスライドでさらに熱くなる後半戦
ステージを進めていくと、レールの上を滑走するレールスライドや、周囲の流れがスローになるバレットタイムといったギミックが登場します。
特にバレットタイムが絡む場面では、振り子のように高速で動く巨大な刃物のトラップをスローモーションですり抜け、通常速度に戻した瞬間に追ってきた敵をトラップに巻き込んで倒す、といった立ち回りも可能です。狙い通りに決まったときの気持ちよさは格別でした。
レールスライドは、敷かれたレールに乗って高速滑走しながら敵を迎撃するギミックです。空中を滑り抜けながらの射撃は映画のような疾走感があります。
スピードを維持したまま次の戦闘エリアへ突入できる繋ぎとしても機能しており、ゲーム全体のテンポを崩さない良いアクセントになっていました。
ステージによってはボス戦も用意されています。道中に登場する「保安官」と呼ばれる大型の敵などは、頭上にフィニッシャーのハートアイコンが出るまで粘り強く戦う必要があり、速度と火力のコントロールが試されました。
なかでもラスボス戦はユニークです。ボスが作中のガーリーな雰囲気を打ち消すかのようにデスメタルを熱唱してくるのですが、その歌のリズムに合わせてショットガンを撃つと、リロードなしで撃ち続けられるというリズムゲームのような仕掛けが加わります。これには思わず笑ってしまいました。

ガラケー越しの仲間とガーリーポップなBGM
物語の舞台はネオンピンクに輝く惑星です。鉱業企業「ティグリス・ニクス」が世界を維持する力「The Love(ザ・ラブ)」を汲み尽くそうと企んでいて、プレイヤーは妖精の反逆者「イムベル」となって企業のロボット軍団を撃破し、愛で満ちたオアシスを取り戻す戦いに挑みます。
公式のキャッチコピーは「Destroy shareholder value(株主価値を打ち砕け)」。ファンシーな世界観のなかに、ピリッとした風刺が効いています。
ストーリーの語られ方も独特で、イムベルが持つピンク色のガラケー(フリップフォン)越しに、実写映像の仲間キャラクターが画面越しに語りかけてきます。
激しい銃撃戦の合間にガラケーでビデオ通話がかかってくる演出があり、妙に肩の力が抜けて落ち着く時間になっていました。
この実写FMVのゆるい空気感が心地よく、怒涛のアクションで昂ぶった頭をほどよく冷ましてくれます。殺伐とした銃撃戦と、ガラケー越しのほのぼのとした会話の温度差が、本作ならではの持ち味です。

画面左側には「Tommy(トミー)」というたまごっち風の相棒デバイスが常に表示されており、敵を倒してLoveを与える育成要素になっています。慌ただしい戦闘の片隅でレトロポップなキャラクターが動いているギャップも、本作らしい味付けです。

そしてプレイしていて特に強い衝撃を受けたのがBGMです。
FPSといえばヘヴィメタルというイメージが根強いですが、本作ではガーリーポップやハイパーポップ、ジャングル調の楽曲が流れます。
ブリトニー・スピアーズに代表される2000年代のポップスや、PinkPantheress、Charli XCXのような現代のハイパーポップ系アーティストを意識して作られているそうで、ゲームのテーマに見事に調和していました。「FPSのBGMはもっと自由でいいんだ」と、改めて気付かされます。
言語は日本語字幕に対応しており、音声は英語のみです。ただ戦闘が非常に忙しいため、交戦中に画面下へ入ってくる字幕を読んでいる余裕がほぼないとファミ通のレビューで指摘されていました。
ファミ通のレビューでも「物語があまり頭に入ってこない」と触れられていましたが、世界観をじっくり味わうなら、戦闘の合間の通話シーンやステージ内の「エコーズ」を確認するのが確実です。
エコーズはステージ内に点在するラジオメッセージのような収集要素で、企業や妖精たちの背景が断片的に明かされていきます。見つけると世界観の解像度が上がるので、余裕があれば拾い集めてみてください。

プレイ時間・難易度・気になった点
エンディングまでのクリア時間は、僕の実プレイでおよそ3.5時間でした。ボリュームとしてはコンパクトですが、そのぶん凝縮された濃密な時間を楽しめます。
海外レビュー(TheSixthAxis)では約4時間、プレイ時間集計サイト(HLTB)ではメインストーリー約5時間、やり込みを含めて約6時間という報告もあるため、4〜6時間ほどの幅を目安にしておくとよさそうです。
構成はプロローグと全5エピソード(E0M1〜E5M5)からなり、全5個の隠しシークレットやステージ評価のS+ランク、2時間未満でのクリアを目指すスピードラン実績など、やり込み派向けの要素も揃っています。
難易度は易しい順に「Girl Wearing A Skirt As A Top」「Girlypop」「Baddie」の3段階が用意されており、ネーミングセンスにもこだわりを感じます。
一方で、海外のレビューには「リプレイ性はそれほど高くない」という指摘もありました。
実績やシークレットの回収を目指して何周も遊ぶというよりは、短く濃い体験を一度きっちり味わうタイプのゲームと捉えるのが近そうです。中だるみすることなく3.5時間を駆け抜けられると考えれば、この密度は好印象でした。

気になった点も挙げておくと、レベルデザインにおいて細かな障害物や段差に引っかかりやすかったり、進行方向が直感的にわかりにくかったりする場面がありました。
ファミ通のレビューでも敵がオブジェクトに挟まる挙動が指摘されています。ただ、操作に慣れてくるとそうしたストレスは減っていき、作品全体の魅力が粗さをしっかりと上回っていると感じました。
操作面では、ウェーブホッピングの入力に慣れる序盤がいちばんの山場になります。
そこを越えれば一気にスピードに乗る楽しさを味わえるので、最初の1時間ほどであきらめずに触ってみてほしいところです。ファミ通のレビューでも序盤の難しさに言及されていましたが、体験版で感触を確かめられるのは親切な配慮だと思います。
また注意点として、画面全体にピンクや蛍光色が使われているため、視覚過敏な人や光の刺激に弱い人にはやや目が疲れやすいかもしれません。ファミ通のライターはサングラスをかけてプレイしたそうです。長時間遊ぶ場合は部屋を明るくし、ディスプレイの輝度を調整してプレイすることをおすすめします。
価格・対応機種・その後の更新
2026年9月19日時点の配信状況と価格は以下の通りです。
- Steam(Windows):2,300円(通常価格)
- 無料体験版『Don’t Stop, Girlypop! Lite』配信中(全6ステージ・武器3種・特別仕様の「デジタルディノ」を収録)
- サウンドトラックDLC:700円
- macOS・Linux・家庭用ゲーム機版はなし
僕が遊んだ発売直後からも継続的なアップデートが行われており、2026年3月には装飾要素を追加する「47.36% More Dressup!」アップデートと全18個の実績が実装され、4月16日にはSteam Deckでの動作が認証(Verified)されました。
2026年のSteamサマーセールでは25%オフの1,725円で販売された実績もあるため、セールを待ってみるのも手です。
作中の楽曲が気に入った人には、単体配信されているサウンドトラックDLC(700円)もおすすめです。BGM単体として聴いても完成度が高く、音楽目当てで購入するのも十分ありだと思います。

必要動作環境は、OSがWindows 11(64bit)、CPUはCore i5-10400F相当、メモリ16GB、グラフィックボードはGTX 1060(6GB)相当、ストレージ空き容量6GBとなっています。ミドルクラスのゲーミングPCがあれば問題なく快適に動くスペックです。
なお、Steamストアで「Don’t Stop, Girlypop!」と検索すると、本編、体験版、サウンドトラックの3件が表示されます。購入対象は本編ですので、買い間違いには注意してください。
まとめ
『Don’t Stop, Girlypop!』は、猛スピードで駆け回りながら好みにデコった武器で敵をなぎ倒していく、一風変わった爽快なFPSです。「FPSの世界観や音楽はもっと自由でいいんだ」と思わせてくれる新鮮さがありました。
マップの引っかかりや画面の刺激の強さといった気になる点もありますが、移動速度が火力に直結する快感とポップなビジュアルが見事に両立しています。
ウェーブホッピングの忙しい操作に慣れてしまえば、あとは疾走感に身を任せて気持ちよく遊べるはずです。
ブーマーシューターが好きな人はもちろん、従来の重厚でダークなFPSに敷居の高さを感じていた人や、FPSに少し抵抗がある人にこそ触れてみてほしい一作です。
購入を迷っているなら、まずは全6ステージを遊べる無料体験版『Don’t Stop, Girlypop! Lite』で、独自のスピードシステムを体感してみるのをおすすめします。

