豊洲市場の見学会に参加してきたのでレポ。移転延期から1年経った現在、内部はどうなってるのか解説します。

豊洲市場の見学会に参加してきたよ

どうも、なす(@nasu66com)です。

つい先日、ちょっとした縁があって豊洲市場の見学会に参加してきました。

豊洲市場の都民見学会を開催|東京都

 

本来は2016年11月に開場予定だった豊洲市場ですが、「盛り土」や「地下ピットの水」についての報道により、結局いまだに移転は延期されたままです

そんな豊洲市場ですが、内部はいまどうなっているかご存知でしょうか?せっかくの貴重な見学体験だったので、記事にしてみたいと思います

(※写真は全て許可を得て撮影しています)

豊洲市場とは?

豊洲市場は江東区豊洲の東京ガス工場跡地に建設された、中央区の築地市場に代わる中央卸売市場です。

▼場所はこちら

 

施設全体の面積は約40万㎡(東京ドーム8.5個分)で、機能ごとに分けられた4棟が存在しています。(▼画像参照)

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1. 管理施設棟:東京都や事業者の事務所をはじめ、都のPRルームや飲食店などが設置される場所

2. 水産卸売場棟:水産物(マグロなど)の「競り」が行われる場所

3. 水産仲卸売場棟:街の魚屋や寿司屋が水産物を仕入れに来る場所

4. 青果棟:野菜や果物などの青果物を扱う場所

 

今回の見学は、上記の4つの建物すべてを2時間程度で巡るツアーのような内容でした

▼見学コース

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 それでは順路通りに見学した内容を紹介していきたいと思います

1. 管理施設棟

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まず管理施設棟のPRルームで豊洲市場の概要を説明してもらいました

・築地市場の老朽化によって移転が決まったこと

・豊洲市場の施設概要

などのWikipedia的な内容を丁寧に説明してくれます

豊洲市場 – Wikipedia

 

管理施設棟には、東京都などの事務所と未完成の飲食店街があるのですが、あまり見学するポイントはありません

 

▼管理施設棟内の飲食店(おそらく寿司店)。一般客も利用可能になる予定とのことですが、完成間近で工事が止まった様子は哀愁を漂わせてました

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2. 水産卸売場棟

早々に管理施設棟をあとにして訪れたのは、マグロの競りを行う「水産卸売場棟」です

▼これまで獲れた最大サイズのクロマグロ(模型)がお出迎えしてくれます。デカい(重さ496kg、長さ2.88m)

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▼競りを行うさいに使われる「手やり」の説明書き。HUNTER×HUNTERではゴンさんが間違えて手やりをしてG.I.の価格を釣り上げてましたね

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▼こちらは実際に競りを行う場所を2階から見た様子です。マグロの「赤色」が映えるので、床が「緑」になってるそう。なるほどよく考えられてる

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▼今回は開場前の見学ツアーなので、1階の競り場にも入れてくれました。当然ですが開場後は入れません

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▼1階の競り場から2階の「のぞき窓」が見えます。観光客を重視した構造になってます

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▼床面は水捌けに配慮して、排水溝に向かって「100分の1」の傾斜がついてます

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▼柱の部分も水捌けに配慮した構造になってます(少し溝がつくってある)。仕事が細かい

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▼マンホールは用途ごとにデザインが違うとのこと。粋やな

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▼こちらはマグロ以外の鮮魚を取引する競り場。マグロの競り場と違って床面は無色です

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▼天井部分にはスピーカーのような装置が無数にあります。これ実は「空調機」で、競り場は常に10.5℃を保てる設計になっているとのこと

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▼こちらは魚を運んでくるトラックの荷捌き場です。説明によるとITを駆使した効率的な荷捌きが実現されるらしい(理解が追いつかなかったので小学生並みの説明)

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▼荷捌き場からは有明のタワマンが一望できます(逆光)

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▼弓矢の的のような機械(右部分)は、エンジンを切ってもコンテナ部分を冷蔵できる装置だそうです。アイドリングストップ対策で環境にも配慮してるそう

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3. 水産仲卸売場棟

お次は、街の魚屋や寿司屋が水産物を仕入れに来る「水産仲卸売場棟」を見ていきます

▼仲卸業者の店舗になるスペースが1600区画あります。1店舗の横幅は1.5mで、約8㎡とのこと。実際に入居したらすごい活気になりそう(こなみ)

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▼既存の築地市場ではターレーと歩行者の事故が多発しているため、豊洲市場では動線が完全に区分されてます(ブルーシート部分がターレー用通路、1段上がった部分が歩行者用通路)

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▼無数のターレーが走行するので中には立体駐車場のような部分も

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▼いわゆるヘアピンカーブです。ターレーに乗る事業者と試行錯誤のうえ設計しているので一部で報道されてるように、ターレーが曲がれないという問題は起きないとのこと

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▼こちらは水産仲卸売場棟内のエレベーター。ターレーがそのまま乗れるように積載量は6トンとなってます

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▼エレベーター内部には排水溝も。1階にエレベーターが設置すると自動で排水されるらしいです。すごい

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屋上庭園

▼水産仲卸売場棟の屋上は緑化されて庭園になってます

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▼庭園からはスカイツリーと東京タワーとレインボーブリッジを同時に観ることができます。豪勢なラインナップやで

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▼海を挟んだ向かい側(中央区晴海)ではオリンピックの選手村を建設中。豪華な客船も停まってました

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▼屋上の庭園は段差なしでゆりかもめの市場前駅と繋がってます

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4. 青果棟

最後は地下ピットの水問題で話題になった「青果棟」の見学です

▼先ほどの屋上庭園から青果棟に繋がる渡り廊下の途中には「千客万来施設」が建設される予定の空地があります。右隣に見えるのはTBSの360°劇場です

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▼ゆりかもめの駅の横を抜けて青果棟へ。一切の段差がなく歩きやすい構造です

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▼渡り廊下の真上をゆりかもめの車両が走ってます

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▼青果棟の外観。地下ピットの水の件でよくニュースに登場していた施設です

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▼ゆりかもめの駅と直結した青果棟の入口(2階部分)

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▼青果棟2階からは1階部分の様子を見学できる構造になってます

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▼このような見学デッキが10箇所以上用意されてます

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▼こちらが青果棟の1階部分です。まだ何もありません

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▼荷物を乗せるエレベーターのような装置のテストをしていました

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▼豊洲市場で取扱う野菜や果実についての説明書。キャベツが1番多いようです

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▼(当然ですが)見学会では話題の地下ピットには入れませんでした。その代わり、現在地下ピットがどのような状況なのかVTRで解説してくれます

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【豊洲市場の地下水についての説明ビデオの内容】

・むかしここにはガス工場があったけど、しっかり綺麗にしたから安心

・土の粘性の関係で外部に地下水が漏れることはない

・杭がめっちゃ深く打ってあるのも安心ポイント

・そもそも地下水が溜まりにくい構造になってる

・けれども少しずつ地下水(雨水)は貯まっていくので、ポンプで汲み出している

・ガス工場由来の汚染物質(ベンゼン、シアン、水銀など指定7物質)は24時間体制でモニターしてる

・もし汚染物質の反応があった場合、直ちに無害化できる装置を備えている

・無害化装置の処理能力は1日200トン(3棟それぞれに設置してるので施設全体では600トン分の水を処理できる)

・無害化した水は下水道に放流する

汚染物質が検出されたことは1度もない(管理システム設置してから1年間)

といった内容でした。なぜテレビであんなに騒いでいたのか不思議ですね

 

▼青果棟には産地の方が直接来店して食べ物をPRするブースも設けられてます

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▼いまさらの紹介ですが、見学者はこんな感じの靴カバーを装着してます

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▼ゆりかもめの市場前駅。はやく観光客で賑わうといいですね

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豊洲市場の見学会に参加した感想

今回、豊洲市場の見学会に参加して感じたのは、「一時期の豊洲市場に関する報道は行き過ぎてたんじゃないかなぁ?」ということです

 

実際に見学会に参加してみると、築地市場と比較しても桁違いに綺麗で衛生的と感じました(実際に築地市場にも何度か訪れたことがあります)

 

報道による風評被害を払拭するのは時間がかかりそうですが、(僕は政治の素人なので難しいことは解りませんが)現在の都知事は千客万来施設の問題を解決して、はやく移転を決定した方が市場関係者や観光客にとっても大きなメリットはあるのではないでしょうか。どうでしょうか?

 

▼ちなみに見学会の募集はこちら(東京都のHP)。興味のある方はぜひ申し込んでみてください。

www.metro.tokyo.jp

 

おわり!

 

※ガジェットオタクとしては電波状況も気になるところだったので、青果棟1階でスピードテストをしたところ、下り127Mbpsという驚異的な速さでした。(ワイモバイル回線

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