どうも、なす(@nasuyowa)です。今回は、2020年から2025年までに日本の劇場で公開されたSF映画の中から、おすすめの11作品を選んでみました。シリーズものから1作だけで楽しめる映画まで、時間・宇宙・AI・マルチバースと、いろいろな題材の作品を集めています。
TENET テネット

- 監督:クリストファー・ノーラン
- 日本公開:2020年9月
- 上映時間:150分
主人公の名もなき工作員が、「時間の逆行」と呼ばれる未知の技術をめぐる争いに巻き込まれていくところから物語が始まります。
未来から送り込まれる破滅の危機を食い止めるため、前に進む順行の時間と、過去へ向かって戻る逆行の時間が激突する戦場へ身を投じていく話です。
ノーラン監督らしい、破格のスケールで作られた映像の仕掛けが何よりの見どころです。
同じ画面の中で順行する人と逆行する人が入り乱れます。車は逆走し、崩れた建物の破片は一瞬で元に戻る。
文字で説明されてもピンとこない光景が、目の前で当たり前のように繰り広げられます。
しかもCGだけに頼るのではなく、俳優たちに逆再生の動きを練習させて演じさせたり、本物の大型旅客機を購入して建物に突入させたりして撮影しています。
撮影の時点でもう頭がおかしいです(褒めてます)。
タイトルの「TENET」は回文になっていて、前から読んでも後ろから読んでも同じスペル。

物語の構造そのものが時間を行き来する設計なので、タイトル自体が映画の大きな仕掛けを表しています。
ルートヴィヒ・ゴランソンが手掛けた音楽も、逆再生のサウンドや荒い呼吸音を組み込んだ独特のものです。緊張感を最初から最後まで引っ張り続けます。
主演はジョン・デヴィッド・ワシントン。相棒ニールを演じるロバート・パティンソンが、飄々としていながら頼りになる佇まいで物語を引き締めています。
この映画、順行と逆行が同じ場面で同時に起きるので、初見では追いきれない場面がかなりあります。観終わってから時間の仕組みを整理したくなるタイプの映画です。
劇中のセリフにもあるように「理解しようとせず、感じる」姿勢で、まずは映像の流れに身を任せるのがおすすめです。

あとから場面ごとの時間軸を整理したり、散りばめられた伏線を見返したりするのが好きな人にはたまらない一本。
逆に、すっきり明快なエンタメだけを求める人にはちょっと重いかもしれません。
ポチップ
シン・ウルトラマン

- 監督:樋口真嗣
- 企画・脚本:庵野秀明
- 日本公開:2022年5月
- 上映時間:112分
「禍威獣(カイジュウ)」と呼ばれる巨大生物が次々と出現し、日常が脅かされるようになった現代の日本が舞台です。
政府が設立した対策組織「禍特対(カトクタイ)」が対応に追われる中、大気圏外から銀色の巨人が現れるところから物語が動き出します。
1966年の初代テレビシリーズ『ウルトラマン』を、現代の社会構造に置き直して再構築した作品です。
巨人の造形は、シリーズ初期のデザインを手掛けた成田亨の絵画「真実と正義と美の化身」を目指して作られています。
胸のカラータイマーがなく、余計な凹凸を削ぎ落とした銀と赤のフォルムは、神秘的でどこか異質な雰囲気です。
見どころは怪獣との対決だけではありません。怪獣の出現にどう対応するか。禍特対のメンバーが情報を集め、話し合いながら動く場面も、この映画のおもしろいところです。
さらに物語が進むと、外星人ザラブや外星人メフィラスといった知性体が登場し、地球の利害をめぐる舌戦が始まります。

居酒屋で割り勘を持ちかけてくるメフィラスとの会話劇など、独特のユーモアと緊張感が同居していて引き込まれます。
神永新二を演じる斎藤工の人間離れした静かな雰囲気や、禍特対のメンバーを演じる西島秀俊、長澤まさみたちのチーム感が、無機質になりがちな設定に温かみを与えています。
ネロンガやガボラといったおなじみの怪獣たちも、現代のCGで生物感と重量感たっぷりに再解釈されています。
地面すれすれの超ローアングルや極端なパースのカメラワークには、特撮への強い愛が感じられます。
上映時間は112分と、最近のSF大作としてはコンパクトです。

初代を知っている人ならニヤリとする小ネタが随所にありますし、予備知識がなくてもファーストコンタクトものとして素直に楽しめます。
ポチップ
NOPE/ノープ

- 監督:ジョーダン・ピール
- 日本公開:2022年8月
- 上映時間:131分
カリフォルニアの広大な荒野で、映画撮影用の馬を調教する牧場を営む兄妹の物語です。
ある日、空から不意に降り注いできた謎の落下物によって父親が命を落としてしまいます。
失意に暮れる兄のOJは、牧場の上空に浮かぶ雲の中に、何かが潜んでいることに気づきます。
形を変えずに同じ場所に留まり続けるその雲をきっかけに、牧場の周辺で奇妙な現象が起き始めます。
経営難に苦しんでいた二人は、その正体不明の飛行物体をカメラで撮影し、決定的な映像をテレビ局に売り込んで一攫千金を狙おうと計画します。
『ゲット・アウト』や『アス』で注目を集めたジョーダン・ピール監督の長編3作目。空を見上げる行為そのものが怖くなってくる、変わり種のUFO映画です。
本作の中心にあるのは、「見ること」と「見世物にすること」をめぐる人間の業です。
未知の存在を恐れながらも、カメラに収めて注目を浴びたい、金に換えたいという人間の執念が生々しく描かれます。
撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマによる映像も見もので、昼間の乾いた大地と底知れない夜の暗闇のコントラストが強烈です。
静けさと、遠くから響く風の音やかすかな物音の緩急で、じわじわと緊張感を高めていく演出が効いています。
寡黙で職人気質の兄OJを演じるダニエル・カルーヤと、社交的で奔放な妹エメラルドを演じるキキ・パーマーの対比がいいです。

正反対の性格の二人が、知恵と手作りの工夫で空の脅威に立ち向かっていきます。
近隣で怪しげなテーマパークを営む元子役の男ジュープ(スティーブン・ユァン)のエピソードなど、過去の悲劇が不気味な影を落としていく構成も印象的です。
血が映る場面や、人が傷つく場面もあるので、怖い映画が苦手なら気を付けてください。ドンパチ重視のエイリアン映画ではないので、じわじわ来る怖さが好きな人向きです。

ポチップ
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

- 監督:ジェームズ・キャメロン
- 日本公開:2022年12月
- 上映時間:192分
前作の戦いから十数年が経過した惑星パンドラが舞台です。続編なので、2009年の『アバター』を観てから挑むのがおすすめです。
先住民族ナヴィの身体を手に入れ、家族を築いたジェイク・サリーとネイティリは平穏な日々を送っていました。
しかし、資源を狙う地球人の再侵略が始まったことで平穏は破られます。
ジェイクは家族の命を守るため、長年暮らした森林を離れ、海辺で暮らす海洋部族メトカイナの村へ身を寄せる決断を下します。
前作から実に13年ぶりの続編です。俳優たちが本物の水中撮影のために息止め訓練まで行ったという、製作の時点で規格外の作品です。
上映時間は192分と3時間を超える長丁場ですが、その時間の多くが「パンドラの海の世界をじっくり見せること」に充てられています。
浅瀬の柔らかな光や深海の発光生物、波の飛沫に至るまで、恐ろしいほどの解像度で描かれます。
物語の軸になるのは、成長した子供たちの葛藤です。
森の暮らしとは勝手が違う海の環境に戸惑いながら、現地の子供たちとぶつかり合い、泳ぎや呼吸法を覚えていく過程が丁寧に描かれます。

シガニー・ウィーバーが演じる養女キリの神秘的な存在感や、クジラに似た知性あふれる巨大海洋生物トゥルクンとの友情など、自然とのつながりを感じさせる描写が随所にあります。
前作の宿敵クォリッチがアバターの姿となって再び立ちはだかる設定も、物語に緊迫感をもたらしています。
後半に向けて畳みかける船上での戦闘や、沈みゆく船内からの決死の脱出劇は、キャメロン監督の得意とするところ。水中での攻防は息が詰まるほどの迫力です。
鑑賞にはまとまった時間と集中力が必要ですが、自宅のテレビやモニターで観ても映像の密度は十分に伝わってきます。

なおシリーズはこの後も続いていて、2025年12月には『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』も日本で公開されました。
ポチップ
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

- 監督:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート(ダニエルズ)
- 日本公開:2023年3月(製作年:2022年)
- 上映時間:139分
コインランドリーを経営する中国系移民の中年女性エヴリンは、日々の生活に追われて心身ともに疲れ果てていました。
山積みの領収書を抱えて税務署の監査に怯え、年老いた父親の世話をし、優しいけれど頼りない夫や、価値観が合わずすれ違いが続く娘との関係にも頭を悩ませています。
そんなある日、税務署のエレベーターの中で、夫の身体を借りた「別の宇宙から来た夫」が突然現れます。
全宇宙に破滅の危機が迫っており、それを救えるのは無数の並行宇宙の中で最も冴えないエヴリンだけだと告げられます。
別の宇宙に存在する「もしも別の人生を選んでいた自分」の記憶やスキルにアクセスして戦う「バース・ジャンプ」という設定が物語の肝です。
そのジャンプを発動させるための条件がどれもバカバカしい行動ばかりで、予測不能な展開が続きます。
ある世界ではカンフーの達人、ある世界では有名な料理人。指がソーセージになった世界や、生命すら存在しない荒野で「ただの石」として転がっている世界まで登場します。
画面から溢れ出す情報量とナンセンスなギャグに笑わされながらも、物語の芯にあるのは家族の絆と人生の肯定です。

どれほど平凡で失敗続きの人生であっても、今ここにある瞬間を大切に抱きしめようとするメッセージが胸に迫ります。
主演はミシェル・ヨー。体を張ったアクションと、家族を案じる母親の顔の両方をこの一人が担っています。
かつて『グーニーズ』などで親しまれたキー・ホイ・クァンが、温厚な夫と頼もしい別宇宙の戦士を演じ分けています。
ジェイミー・リー・カーティス演じる不気味な税務署職員や、虚無の象徴として現れる巨大なベーグルなど、奇抜なアイデアが最後まで飽きさせません。
A24が北米配給を手掛けた作品です。第95回アカデミー賞では作品・監督・脚本・主演女優・助演男優・助演女優・編集の7部門を受賞しました。
荒唐無稽なのに着地は家族の話、という不思議な映画です。悪ふざけに近いギャグも多いので好みは分かれると思いますが、普段とは違う刺激が欲しい人は試してみてください。

ポチップ
ザ・クリエイター/創造者

- 監督:ギャレス・エドワーズ
- 日本公開:2023年10月
- 上映時間:133分
ロサンゼルスを襲った核爆発をきっかけに、人類とAIの間で激しい戦争が続いている近未来が舞台です。
AIの完全な撲滅を目指す西側諸国に対し、東南アジアを中心とする「ニューアジア」では人間とAIが平和的に共存を続けていました。
元米軍特殊部隊員のジョシュアは、ニューアジアに潜伏するAI側の最高開発者「クリエイター」を暗殺し、人類を滅ぼす力を持つとされる新兵器を破壊する任務を引き受けます。
しかし、彼が潜入先の研究所の奥深くで発見した新兵器の正体は、幼い少女の姿をした超進化型AIのアルフィーでした。
ジョシュアはある個人的な目的から、彼女を破壊せずに連れ出し、共に逃避行へ出る決断を下します。
『GODZILLA ゴジラ』や『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を手掛けたギャレス・エドワーズ監督の持ち味は、巨大な構造物と風景の絵作りです。
空から地上の目標を狙い続ける巨大兵器「ノーマッド」の威圧感には息を呑みます。

その一方で、のどかな水田や素朴な村の風景の中に、頭部に機械部品を露出させたロボットたちが自然に溶け込んで暮らしている姿が印象的です。
グリーンバックのスタジオに頼り切るのではなく、タイやカンボジアなど世界各地の実際のロケーションで撮影し、そこに後からデジタル効果を重ね合わせる手法が取られています。
そのため、未来的でありながら土や雨の匂いが感じられるような生々しい質感があるんですよね。
ジョシュアを演じるジョン・デヴィッド・ワシントンの憂いを帯びた佇まいと、アルフィー役のマデリン・ユナ・ヴォイルズの無邪気な表情の組み合わせが、この逃避行を人間ドラマとして見せています。
渡辺謙が演じるAIのハルンも出てきます。
大がかりな戦闘アクションの裏で、人間と機械の境界線や、家族のような情愛の芽生えが静かに描かれます。

世界観と絵作りを楽しむタイプのSFです。物語の綿密さを重視する人には、設定の荒さが気になる点もあるかもしれません。
ポチップ
デューン 砂の惑星PART2

- 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
- 日本公開:2024年3月
- 上映時間:166分
貴重な香料スパイスを産出する過酷な砂漠の惑星アラキスを舞台にした物語です。皇帝と敵対勢力の陰謀によって名門アトレイデス家を滅ぼされた後継者の青年ポール。
母ジェシカと共に砂漠の奥地へと逃げ延びた彼は、現地で生き抜いてきた砂漠の民フレメンの共同体に身を寄せます。
復讐を誓いながらも、過酷な修行を通じて彼らの信頼を勝ち取り、やがて予言の救世主として崇められていく話です。
フランク・ハーバートによる古典SF小説の第1巻を、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が前後編で映画化した後編にあたります。
前作『DUNE/デューン 砂の惑星』を観ていることが前提です。
砂漠の下を潜航する巨大なサンドワーム(砂虫)の背中に飛び乗り、砂漠を疾走する場面の迫力は凄まじいです。
砂塵の巻き上がる音や砂粒の擦れ合う感触まで伝わってくるような臨場感があります。
砂の上を歩くフレメン独特の変則的なステップや、体から出る水分をろ過して再利用する保水スーツなど、過酷な環境で生きる人々の生活描写が細部まで作り込まれています。

砂漠の黄金色の世界とは対照的に、仇敵ハルコネン家の本拠地ギエディ・プライムの場面は白黒のモノトーンで描かれます。
実際に赤外線で撮影された映像で、太陽の色まで違う星という異様さが出ています。
ティモシー・シャラメが演じるポールの苦悩と冷徹な変貌、ゼンデイヤ演じるフレメンの戦士チャニの葛藤、そして宿敵フェイド=ラウサを演じたオースティン・バトラーの不気味さが物語を盛り上げます。
ハンス・ジマーによる地響きのような重低音の音楽も、この世界に身体ごと入り込む一因です。
ポールが救世主として扱われていく過程を、物語はただの英雄譚としては見せません。宗教的な熱狂の恐ろしさや権力の危うさまで、冷ややかな視線で描いています。

上映時間は166分と長く、前作の鑑賞が前提になるためハードルは高めです。ただ、PART1から2作通して観たときの満足感はかなり大きいです。
ポチップ
猿の惑星/キングダム

- 監督:ウェス・ボール
- 日本公開:2024年5月
- 上映時間:145分
猿が高度な知性と文明を築き、人間が言葉を失って野生動物のように退化した地球が舞台です。
かつて猿たちを率いて自由のために戦った伝説の指導者シーザーの死から、約300年が経過した時代を描いています。
ワシを相棒にして平和に暮らす部族の若きチンパンジーのノアは、ある夜、謎の軍勢によって村を焼き払われ、仲間たちを連れ去られてしまいます。
ノアは家族を救い出すため、未知の外の世界へと旅立ちます。
『メイズ・ランナー』シリーズのウェス・ボール監督がメガホンを取り、2010年代に展開された三部作のその後の世界を新たな主人公の視点から描いています。
かつての人間文明の痕跡が緑に覆われ、打ち捨てられた高層ビルや朽ちた巨船が大自然に飲み込まれている終末後の風景が広がります。
猿たちが独自の文化や掟を守りながら暮らしている様子にも、確かな説得力があります。
旅の途中でノアが出会う独裁者プロキシマス・シーザーは、かつての英雄シーザーの教えを都合よく引用し、他の部族を力でねじ伏せて自らの帝国を築こうとしていました。

崇高だったはずの教えが何百年もの時間を経て歪められ、支配の道具として利用されていく構図は、人間社会の歴史そのものを見ているようで考えさせられます。
旅の道中でノアと行動を共にする、知性を残した人間の女性メイ(フレイヤ・アーラン)の存在も物語の鍵です。
協力し合いながらも、お互いの種族への不信感が拭えない二人の距離感が、話を常に引き締めています。
オーウェン・ティーグをはじめとする役者たちの表情や筋肉の動きを捉えたCG技術のおかげで、猿たちの瞳の輝きや毛並みが芝居としてちゃんと伝わってきます。
猿同士の会話をじっくり見せる場面もあり、アクションだけで押し切る映画ではありません。

前シリーズを知らなくても「猿が支配する地球」という設定だけで入れる作りで、シリーズのファンなら歴史の変遷に思いを馳せる楽しみもあります。
ポチップ
エイリアン:ロムルス

- 監督:フェデ・アルバレス
- 日本公開:2024年9月
- 上映時間:119分
太陽の光が届かない劣悪な採掘植民惑星で、巨大企業ウェイランド・ユタニ社に搾取されながら生きる若者たちの物語です。
過酷な暮らしから抜け出し、遠く離れた安住の地へ旅立つため、彼らは上空の軌道上に漂う廃棄された宇宙ステーションへ忍び込みます。
目的は、長い航海に必要なコールドスリープカプセルを回収すること。
しかし、静まり返ったステーションの内部には、過去の実験によって解き放たれた宇宙最恐の生命体が潜んでいました。
名作スリラー『ドント・ブリーズ』を手掛けたフェデ・アルバレス監督がメガホンを取り、シリーズ第1作と第2作の間の時代を舞台に描いたサバイバルホラーです。
薄暗い金属の通路、水滴が滴る天井、そしてカチカチと不穏な音を刻む動体探知機の反応。初期作品と同じ空気の閉所恐怖が正面から描かれます。
デジタル技術だけに頼らず、実物大の造形物やアニマトロニクスを多用したエイリアンの質感は生々しく、暗闇から忍び寄るフェイスハガーの群れは強烈に怖いです。
強酸性の血液が船体の床を溶かし、外壁に穴が開けば宇宙空間へ放り出されるという、宇宙船内ならではの物理的な危機を活かした設計もうまいです。

無重力状態を利用した攻防など、アイデアに満ちた場面が続きます。
主人公の少女レインを演じるケイリー・スピーニーに加え、彼女と兄弟のように育った心優しい旧型アンドロイドのアンディ(デヴィッド・ジョンソン)が物語のもう一つの軸になっています。
ステーション内でアップグレードされたアンディが、プログラムの優先順位とレインへの情愛の間で揺れ動く場面は、人間と人工知能の関係を考えさせる見どころでもあります。
旧作を観ていなくても「閉所でエイリアンから逃げる」という図式で普通に怖いですが、PG12とはいえ寄生やグロの描写は容赦ありません。
ホラーが苦手な人は避けてください。

ポチップ
野生の島のロズ

- 監督:クリス・サンダース
- 日本公開:2025年2月(製作年:2024年)
- 上映時間:102分
人間のいない無人島に、最新鋭のロボット「ロズ」が漂着するところから始まる物語です。
人間からの命令を待ちながら島をさまよっていたロズは、あるアクシデントによってガンの巣を壊してしまい、たったひとつだけ残った卵を保護することになります。
やがて卵から孵化した小さなヒナは、初めて目にしたロズを母親だと思い込みます。
子育てのプログラムなど一切組み込まれていないロズが、ヒナに「キラリ」と名付け、厳しい自然の中で母親役を務めることになる話です。
『ヒックとドラゴン』や『リロ・アンド・スティッチ』で知られるクリス・サンダース監督が、ピーター・ブラウンの児童文学を原作にアニメーション映画化した作品です。
効率と任務遂行だけを基準に作られた機械が、計算や理屈がまったく通用しない「子育て」という営みに出会うことで、少しずつ変化していきます。
島の動物たちの鳴き声をデータとして学習し、言葉を覚えていくロズの姿や、飛び方や泳ぎ方を教えるために四苦八苦する過程がユーモアたっぷりに描かれます。
CGでありながら手描きの絵を思わせる質感の映像も大きな特徴で、水彩画や油絵がそのまま動いているような温かみのある画面が続きます。

光の差し込む森や色鮮やかな紅葉、雪に閉ざされた冬の景色など、一コマ一コマが美しいです。
おとぎ話のような優しさだけでなく、弱肉強食や冬の寒さといった自然界の冷徹な現実もしっかり描かれています。
狡猾なキツネのチャッカリをはじめとする島の住人たちと絆を結び、困難を乗り越えていく姿には大人でも胸を打たれます。
秋の渡りの季節に向けて、成長したキラリが仲間たちと共に空へと旅立つ場面は、爽快感と切なさが同居する見せ場です。
上映時間は102分とコンパクトで、親子でも大人一人でも楽しめる間口の広さがあります。原作はシリーズ化されている児童書で、映画の続編制作も発表済みです。

ポチップ
ミッキー17

- 監督:ポン・ジュノ
- 日本公開:2025年3月
- 上映時間:137分
人類が新たな居住地を求めて極寒の氷の惑星ニフルヘイムへと進出した近未来が舞台です。
開拓基地で働く青年ミッキーは、放射線の除染や危険地帯の調査といった致死率の高い任務を押し付けられる「使い捨ての消耗品(エクスペンダブル)」として契約を結んでいました。
命を落とすたびに、過去の記憶を引き継いだ新しい肉体としてバイオプリンターで再生成(プリント)される日々。
名前の後ろの数字は、何体目のミッキーかを区別するためのものです。
ある日、危険な調査任務の途中でクレバスに落下し、死亡したと見なされた17番目のミッキー(ミッキー17)。
しかし彼は奇跡的に生還を果たし、自力で基地へと戻ってきます。
ところが居住区の部屋のドアを開けると、そこにはすでに自分の後任として複製された18番目のミッキー(ミッキー18)がくつろいでいました。
同一の複製人間が同時に二体存在することは禁じられており、見つかれば即座に処分されてしまいます。

二人のミッキーは生き残るため、基地の管理者たちに気づかれないよう秘密を共有し、奇妙な共同生活を始めることになります。
『パラサイト 半地下の家族』で知られるポン・ジュノ監督が、エドワード・アシュトンのSF小説『ミッキー7』を独自の視点で映画化した作品です。
命が軽々しくリサイクルされ、死体すら資源として処理されるディストピアのグロテスクな設定を、切れ味鋭いブラックユーモアたっぷりに描き出しています。
気が弱く流されがちなミッキー17と、好戦的で自己主張の激しいミッキー18。
性格が真逆の二人をロバート・パティンソンが演じ分けていて、まるで漫才を見ているような掛け合いが楽しめます。
マーク・ラファロ演じる横暴で身勝手な政治家など、支配層の滑稽さを暴く描写にもポン・ジュノ監督らしい痛烈な社会風刺が効いています。

過酷な星で生きる原生生物との関わりや、格差社会の中で名もなき労働者がどう人間としての尊厳を取り戻していくのかが描かれます。
ただ、死体や過酷な労働の描写は容赦ないので、残酷な場面が苦手な人は注意です。社会風刺の効いたSFが観たい人には合うはずです。
ポチップ
まとめ
2020年から2025年にかけて日本で公開されたSF映画から、おすすめの11作品を紹介しました。
観る作品に迷ったときは、自分のそのときの気分や使える時間に合わせて選んでみるのがおすすめです。
手軽に楽しみたい日や、2時間以内でコンパクトに濃密な時間を過ごしたいときは、102分の『野生の島のロズ』や112分の『シン・ウルトラマン』、119分の『エイリアン:ロムルス』あたりから入るとスムーズです。
休日にたっぷりと時間を取って壮大な異世界へ行きたいなら、166分の『デューン 砂の惑星PART2』や192分の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』にじっくり挑んでみてください。
どちらも前作の予習が必要になります。
事前知識なしで単体のストーリーとして楽しみたいなら、『NOPE/ノープ』や『ザ・クリエイター/創造者』が入り口としてぴったりです。
怖いものが苦手な人は『エイリアン:ロムルス』と『NOPE/ノープ』の順で気を付けてください。
逆にアクションやギャグで押し切るタイプが良ければ『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が合います。
配信先についても調べました。今回の11本では、U-NEXTで7本、Disney+で3本の見放題配信を確認しています。
U-NEXTで観られるのは、『TENET テネット』『NOPE/ノープ』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』『ザ・クリエイター/創造者』『デューン 砂の惑星PART2』『野生の島のロズ』『ミッキー17』の7本です。
『テネット』と『エブエブ』で時間や別世界の話を楽しむのもいいですし、『クリエイター』と『ロズ』で、雰囲気の異なるロボット映画を続けて観てみるのも面白そうです。
どちらも機械と人間や動物との関係を描いた作品ですが、『クリエイター』は戦争の中での逃避行、『ロズ』は野生の島での子育てです。似た題材を扱っていても、観ているときの感覚はかなり違います。
Disney+では、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』『猿の惑星/キングダム』『エイリアン:ロムルス』の3本を見放題で観られます。
この3本は、前作とのつながり方もそれぞれ違います。『アバター』は1作目から続く家族の話なので、先に前作を観ておきたいところです。
『キングダム』は主人公と時代が変わるため、ここから観始めて、気になったら以前の3部作へ戻るという観方もできます。『ロムルス』も新しい登場人物たちの話ですが、1作目を先に観ておくと舞台設定のつながりを楽しめます。
『シン・ウルトラマン』はTELASAでのレンタル配信を確認しました。こちらは見放題とは別料金で、確認時点では7日間440円です。
すでに入っているサービスがあるなら、まずはその中で気になる映画を選ぶのが手軽です。1本だけのために新しく契約する場合は、月額料金とレンタル料金を比べてみてください。
各作品の配信情報は、2026年9月14日時点で確認できた配信先を載せています。全サービスを網羅した一覧ではなく、見放題で観るにはそのサービスの契約が必要です。配信終了や料金の変更もあるため、再生前にはリンク先の表示を確認してください。
このブログには以前書いた「宇宙モノのSF映画10本」の記事もあります。
→ SF映画の代表「宇宙モノ」って名作多すぎじゃない?最高に面白い10作品をランキングで紹介します。
昔の名作宇宙映画と今回の近年の話題作をあわせて観てみると、特撮やVFXの進化、時代ごとに描かれるテーマの違いがより楽しめると思います。
気になる作品が見つかったら、ぜひ週末の映画時間の候補に加えてみてください。
おわり!

